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厚労省記者クラブ記者会見のお知らせ

8月に行われた、障害者権利条約の初の審査でロビイングを行い、国連から出された総括所見をどのように活かしていきたいのかを女性としての目線から報告します。

ぜひ会場に来て私たちの生の声をお聞きください!

複合差別に直面する障害女性の課題をメインストリームに!!
~国連障害者権利条約(CRPD)第1回総括所見を受けての記者会見~

DPI 女性障害者ネットワーク
日時:2022年10月 18日(火)13:00 ~14:00 
場所:厚労省記者クラブ 

今年8月22(月)・23(火)に、国連障害者権利条約(2014年日本締結)の初の審査が、
スイスの国連ジュネーブ本部で行われました。
条約には、障害女性の複合差別への認識と人権の保障、障害女性のエンパワーメント確保を求めた、第6条があります。
世界の障害女性たちの強い働きかけで実現しました。
障害女性は、女性であり障害者であることで、2重3重の困難、複合差別に直面しています。
就労率や収入の低さが際立ち、経済的な面でも困難な状況に置かれやすい立場です。
「障害者」として一括りに扱われており、リプロダクティブ・ヘルス・ライツを否定されがちである一方で、性被害などにあいやすい立場でもあります。

しかし、データが不足しており、可視化が難しく、障害者支援制度と女性支援制度の間で谷間に落ちている状況です。障害女性の問題は、障害者権利条約の重要な課題です。

私たちは今回ジュネーブにメンバーを派遣し、障害女性の課題のメインストリーム化に向け、現場の切実な声を届けてきました。
そして9月9日に公表された総括所見には、障害女性の課題が14項目に渡り、懸念・勧告として書き込まれました。

メンバーのプロフィール

川合千那未:脳性麻痺があり、24時間の常時介助を受けながら、障害女性の活動や自立生活運動に関わっています。

藤原久美子:視覚障害があることで中絶を勧められた経験から、障害女性の複合差別解消に取り組んでいます。

南 由美子:自分自身の聴覚障害の経験から、障害があっても安心して子を生み育てるられる社会を考えています。

田中恵美子:障害のある女性のSRHRの実現に向けて、特に知的障害女性の研究・支援を行っています。

私たちは2016年にも国連女性差別撤廃条約へロビイングを行い、強い勧告を引き出しました。
それがきっかけとなり、優生保護法問題の国内での大きな動きにつながりました。
今回、私たちの声が審査にどう反映され、国の姿勢はどのようなものだったのか、
そして総括所見を今後どのように政策に反映させていきたいのかを報告します。

  • DPI 女性障害者ネットワーク 連絡先:dpiwomen@gmail.com または dwnj@dpi-japan.org
  • ホームページ:https://dwnj.chobi.net/
  • Facebook https://www.facebook.com/dpiwomennet Twitter アカウント名 : @DWNJapan
  • 記者会見連絡先:藤原  (kumiko.f0309@gmail.com) 080-6217-4501

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ジュネーブ派遣報告会~障害女性の課題をメインストリームに!~開催のお知らせ

2022年8月に行われた、障害者権利条約の対日審査にDPI女性障害者ネットワークメンバーが3名派遣されました。
みなさんにたくさんの応援をいただいたお礼と、報告のため、イベントを開催します!
ロビー活動や、国連障害者権利委員会を傍聴を通して、それぞれが感じたことなどを話します。
そして、その後に出された総括所見をどのように活かし、障害のある女性にかかわる課題の周知や改善を働きかけていくか考えます。
ぜひご参加ください。

《日時》2022年11月12日(土)午後2時~5時

《場所》DPI日本会議 事務所 東京都千代田区神田錦町3-11-8 武蔵野ビル5階
    ※オンライン中継も予定しております。

《共催》NPO法人CIL神戸Beすけっと・認定NPO法人DPI日本会議

申し込み方法などについては、追ってご案内いたします。

カンパを募集しています!

今夏の国連障害者権利委で
障害女性のロビイングのために

今年2022年夏、国連で日本報告の審査がおこなわれます。

ジュネーブにメンバーを派遣する費用カンパを募集しています。

障害者権利条約を批准した日本の施策が、条約にのっとっているかどうかという審査が行われます。2021年の予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていました。日本にとって初めての審査が、スイスのジュネーブにある国連で2022年8月に、やっと行われます。

今回DPI女性障害者ネットワークのメンバーが、障害女性の視点から、優生保護法の問題や、出生前診断(優生思想)の問題、コロナ禍でさらに浮き彫りになった日常生活に伴う困難などについて、国連の委員に直接訴えてくることになりました。

そのために必要な費用は大きくなっています。

国連で委員と対話したことや審査の場で見聞きしたことを日本に持ち帰り、これからの政策提言に活かし、法律から変えていき障害女性の複合的な困難を解決していけるように、あなたの力をぜひお貸しください。

ジュネーブに行くメンバーのプロフィール

川合千那未

プロフィール
脳性麻痺があり、24時間の常時介助を受けながら、障害女性の活動や自立生活運動に関わっています。インクルーシブな社会を目指して活動していますがその一歩目がジェンダーフリーだと思っています。

メッセージ
今回初めてジュネーブに行かせていただく事になりました。私は今30代で20代のころはあまり感じ取れていなかった障害女性特有の困難を現在実感しているところです。特に優生思想が色濃く残る日本での現状を国連でどのように審査されているのかに着目しています。常時介助が必要な重度障害を持っているので、介助者を二人伴って行く予定です。

帰国後コメント(9月6日 追記)
今回みなさまからの応援をいただき、メンバー2人と介助者3名でジュネーブに行くことができました!
委員のみなさんは私たちの話を真摯に受け止めて、質問の形にしてくれました。
それらの質問は、実際に日本に住んで、現状を見ているかのようでした。
私たちの声を直接伝えることはとても大切なことなのだと実感しました。
総括所見が出されたら、政府や自治体への働きかけに活用したいと思います。
ありがとうございました!



藤原久美子

プロフィール
視覚障害のあるピア・カウンセラーとして神戸を拠点に活動しています。障害があることで中絶を勧められた経験から、特に優生保護法問題には当事者としての思いもあり、早期解決を願っています。 

メッセージ
「なぜ、被害者が負けたのか?」これは、2019年事前作業部会でのロビイングで、優生保護法被害者が仙台地裁で敗訴したことを伝えたときの委員の驚きの言葉です。パラレルレポートでは書けなかった現状を、ジュネーブで直接委員に伝えたことは、そのあと出された事前質問にも反映され、今回の審査で国としての姿勢を問われることになります。
障害女性たちの置かれている現状を、自分たち自身の経験を通して委員に伝えること。そしてその後出される勧告を、国内の施策に活かしていけるよう取り組みます!
ぜひ、私たちをジュネーブに送ってください!!

帰国後コメント(9月6日 追記)
ジュネーブでのロビイング・傍聴を終え、予定通りに帰ってくることができました。
会場のパレ・ド・ナシオンでは、孔雀と再会。日本から来た市民社会からの参加者、総勢110名でにぎわう中、会場の入り口やカフェなどで、資料を渡して私たちの思いを伝えることができました。委員は熱心に耳を傾けてくれ、直接お話しすることができてよかったです!ご支援・ご協力ありがとうございました!
また詳しくは、報告会で行いたいと思いますので、日程など決まりましたらお知らせします。ぜひご参加ください。

61万円1千円のご協力頂いています。ありがとうございます。

カンパの送り先  

郵便振替口座

口座番号  00100-3-451127

加入者名  DPI 女性障害者ネットワーク

*振込用紙の通信欄には「カンパ」とご記入をよろしくお願いします。

ゆうちょ銀行

名義  ディーピーアイジョセイショウガイシャネットワーク

ア)ゆうちょ銀行からのお振込の場合

(記号)10170(番号)44556521

イ)ゆうちょ銀行以外からのお振込の場合

(店名)〇一八(読み  ゼロイチハチ)

(店番)018(預金種目)普通預金(口座番号)4455652

*ゆうちょ銀行にご送金の場合、メール題名を「カンパ」としてご一報をお願いします。

*恐縮ですが、上記いずれの場合も、振込手数料はご負担下さい。

DPI 女性障害者ネットワーク

連絡先:dpiwomen@gmail.com または dwnj@dpi-japan.org

Facebook https://www.facebook.com/dpiwomennet

ホームページ:https://dwnj.chobi.net/        Twitter アカウント名 : @DWNJapan

障害女性の複合差別は、女性であり障害者であることから、いろいろな要素が複雑に絡み合っておこるため、見えにくく、少しずつ知られるようになってきた課題です。

 障害者基本法、障害者差別解消法といった日本の法律には、「性別」の文字はあるものの、教育・雇用・収入・相談・防災などに存在する性別格差はなかなか直視されず、格差をなくす政策も進んできませんでした。

 政策の実施に欠かせないことは、法律に、障害女性等の複合差別の解消課題が明記されることです。そして、法律・政策・実態調査について決めていくときに、そこに当事者として障害女性が参画している状態をつくることです。

 DPI女性障害者ネットワークは、個人をつなぐゆるやかなネットワークで、障害の違いを越えて、障害女性のエンパワメントに取り組んでいます。情報を集め、国内の法律や政策に提言し、国際会議でも発言してきました。2011年に障害女性の複合差別実態調査を行い、現在は、優生保護法裁判、「NIPT等の出生前検査について、新型コロナウイルス感染拡大の中で、障害女性を取り巻く困難などに注視しています。「新型コロナウイルス感染拡大の中で困ったこと、嫌だったこと、不安なこと、あなたの経験をお寄せください」というアンケート調査も継続しています。

国連の日本政府に対する審査とDPI女性障害者ネットワークのロビイング

 私たちは、国連の委員会にメンバーを派遣してきました。2015年と2016年には女性差別撤廃条約の委員会に、2019年には、障害者権利条約の委員会に、障害女性とそのサポーターがジュネーブへと向かったのです。

 派遣にあたりご協力を呼びかけたところ、皆さまからカンパをお寄せ頂き、その熱い思いを胸にロビイングを行うことができました。ありがとうございました!おかげさまで、 私たちの思いに委員たちはとても熱心に耳を傾けてくれました。

 その結果、2016年3月に女性差別撤廃委員会が日本政府に出した勧告に、優生保護法被害者の調査や謝罪、補償を求めることが入りました。これが、優生保護法問題が大きく動くひとつのきっかけとなったのです。

2019年の障害者権利委員会は、日本政府に、障害女性の複合差別について、また、強制不妊手術被害者の7割が女性だった優生保護法について質問を出しました。これらの質問に日本政府は回答し、国連はこれを審査します。新型コロナウイルスの影響で2021年の開催が延期されており、2014年に障害者権利条約を批准した日本にとって初の審査で、2022年に開催予定です。

政府が今後、障害者権利条約をどう履行するのか、重要な意味を持ちます。

開催が延期されていた期間中、さまざまな形で障害女性の困難な状況が浮き彫りにされました。

私たち市民の側からも、実態をふまえた国連にレポートを提出しました。

ジュネーブに渡航し、委員へ直接ロビイングすることは重要となるでしょう。

なぜ、国連にもロビイングが必要?

  障害者権利条約は第6条で「締約国は、障害のある女性及び少女が複合的な差別を受けていることを認識し、また、これに関しては、障害のある女性及び少女がすべての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる(川島聡=長瀬修仮訳・2008年5月30日付)」として、女性の地位の向上とエンパワーメントを非常に重視しています。

  しかし、第6条があるから複合差別の課題が常に意識されるわけではありません。特に日本はジェンダーギャップ指数が、159カ国中121位と、前年度から更に順位を下げたように、性差別解消への取組は乏しいのです。障害女性への差別にも関わるので、障害者権利委員会と女性差別撤廃委員会、両方に働きかけが必要でした。国連機関からの勧告は国内の課題を大きく動かすものなので、複合差別を身をもって知る障害女性が訴えていくことがとても大切なのです。

お寄せくださるカンパで、私たちはロビイングを続けることができます。

PDF/ ワード版テキスト

◆障害女性の課題をメインストリームに!カンパを募集しています◆

障害女性の複合差別は、女性であり障害者であることから、いろいろな要素が複雑に絡み合っておこるため、見えにくく、少しずつ知られるようになってきた課題です。

障害者基本法、障害者差別解消法といった日本の法律には、「性別」の文字はあるものの、教育・雇用・収入・相談・防災などに存在する性別格差はなかなか直視されず、格差をなくす政策も進んできませんでした。政策の実施に欠かせないことは、法律に、障害女性等の複合差別の解消課題が明記されることです。そして、法律・政策・実態調査について決めていくときに、そこに当事者として障害女性が参画している状態をつくることです。

DPI女性障害者ネットワークは、個人をつなぐゆるやかなネットワークで、障害の違いを越えて、障害女性のエンパワメントに取り組んでいます。情報を集め、国内の法律や政策に提言し、国際会議でも発言してきました。2011年に障害女性の複合差別実態調査を行い、今は「新型コロナウイルス感染拡大の中で困ったこと、嫌だったこと、不安なこと、あなたの経験をお寄せください」というアンケート調査をしています。

視覚障害がある人のガイドヘルプ、聴覚障害がある人と情報や議論を共有する情報保障、翻訳、通訳、調査、広報など、必要な費用は大きくなっています。日常の取組から海外派遣までの資金も支えていけるように、法律から変えていき障害女性の複合的な困難を解決していけるように、あなたの力をぜひお貸しください。

〈裏面〉

国連の日本政府に対する審査と、女性障害者ネットのロビイング

私たちは、国連の委員会にメンバーを派遣してきました。2015年と2016年には女性差別撤廃条約の委員会に、2019年には、障害者権利条約の委員会に、障害女性とそのサポーターがジュネーブへと向かったのです。派遣にあたりご協力を呼びかけたところ、皆さまからカンパをお寄せ頂き、その熱い思いを胸にロビイングを行うことができました。ありがとうございました!おかげさまで、 私たちの思いに委員たちはとても熱心に耳を傾けてくれました。

その結果、2016年3月に女性差別撤廃委員会が日本政府に出した勧告に、優生保護法被害者の調査や謝罪、補償を求めることが入りました。これが、優生保護法問題が大きく動くひとつのきっかけとなったのです。

2019年の障害者権利委員会は、日本政府に、障害女性の複合差別について、また、強制不妊手術被害者の7割が女性だった優生保護法について質問を出しました。これらの質問に日本政府は回答し、国連はこれを審査します。2014年に障害者権利条約を批准した日本にとって初の審査で、2021年に開催予定です。政府が今後、障害者権利条約をどう履行するのか、重要な意味を持ちます。私たち市民の側からも、国連にレポートを出すべく準備をしているところです。新型コロナの影響で審査がどのような形になるとしても、私たちの活動とその費用は必要になります。ジュネーブに渡航できるならばその旅費、行くことができない場合も国内でのロビイングは重要となるでしょう。

なぜ、国連にもロビイングが必要?

障害者権利条約には障害女性の複合差別に関する第6条(*)があり、大変重視されています。

しかし、第6条があるから複合差別の課題が常に意識されるわけではありません。特に日本はジェンダーギャップ指数が、159カ国中121位と、前年度から更に順位を下げたように、性差別解消への取組は乏しいのです。障害女性への差別にも関わるので、障害者権利委員会と女性差別撤廃委員会、両方に働きかけが必要でした。国連機関からの勧告は国内の課題を大きく動かすものなので、複合差別を身をもって知る障害女性が訴えていくことがとても大切なのです。

お寄せくださるカンパで、私たちはロビイングを続けることができます。

▽PDF▽ワード版テキスト

カンパの送り先
郵便振替口座
口座番号 00100-3-451127
加入者名 DPI女性障害者ネットワーク
*振込用紙の通信欄には「カンパ」とご記入をよろしくお願いします。

ゆうちょ銀行
名義 ディーピーアイジョセイショウガイシャネットワーク
ア)ゆうちょ銀行からのお振込の場合
(記号)10170(番号)44556521
イ)ゆうちょ銀行以外からのお振込の場合
(店名)〇一八(読み ゼロイチハチ)
(店番)018(預金種目)普通預金(口座番号)4455652
*ゆうちょ銀行にご送金の場合、メール題名を「カンパ」としてご一報をお願いします。
*恐縮ですが、上記いずれの場合も、振込手数料はご負担下さい。

 

 

「障害のある女性の生活の困難
―人生の中で出会う複合的な生きにくさとは―複合差別実態調査報告書」

障害のある女性の生活の困難 ―人生の中で出会う複合的な生きにくさとは― 複合差別実態調査報告書

ご関心ある方はお問い合わせください!

 

*障害者権利条約第6条「障害のある女性」

1    締約国は、障害のある女性及び少女が複合的な差別を受けていることを認識し、また、これに関しては、障害のある女性及び少女がすべての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。

2    締約国は、この条約に定める人権及び基本的自由の行使及び享有を女性に保障することを目的として、女性の完全な発展、地位の向上及びエンパワーメントを確保するためのすべての適切な措置をとる。

障害のある人の権利に関する条約  川島聡=長瀬修仮訳(2008年5月30日付)より

3月11日東京高裁判決を受けての要望書

2022 年 3 月 19 日


内閣総理大臣 岸田 文雄 様
厚生労働大臣 後藤 茂之 様
法務大臣 古川 禎久 様
DPI 女性障害者ネットワーク
代表 藤原 久美子


3 月 11 日東京高裁判決を受けての要望書


私たち DPI 女性障害者ネットワークは、1986 年の設立当初から、優生保護法撤廃を求めてきました。また、同法を背景とする、障害女性の子宮の摘出をやめるよう、抗議を続けてきました。障害女性のリプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利:第 5 次男女共同参画基本計画/内閣府より、以下同)が実現するように、他の女性団体とともに、厚労省へ意見書を提出するなどの活動もしています。

2022 年 3 月 11 日、東京高等裁判所(平田豊裁判長)は、請求を棄却した一審判決を覆し、国に対し優生保護法被害者である控訴人に対する損害賠償を命じる判決を言い渡しました。
2 月 22 日に出された大阪高等裁判所に続く、2 例目の原告勝訴判決であり、国の優生保護法の被害に対して賠償を認める判決を強く支持します。
東京高裁判決は、旧優生保護法の立法目的が差別的思想に基づくものであって正当性を欠く上、目的達成の手段も極めて非人道的なものであり、憲法 13 条及び 14 条 1 項に違反することは明らかであり、厚生大臣は、違憲・違法な優生手術を積極的に実施させていたとしました。
被害者の多くは、「不良」な子孫を持つことが防止されるべき存在として差別を受けた上、強度の侵襲を伴う不妊手術を受けさせられ、二重、三重にも及ぶ精神的・肉体的苦痛を与えられたものであること。
身体の拘束や欺罔等も許容し、被害者が優生手術であることを認識しづらい構造的な仕組みを構築、平成 8 年改正においても、優生条項の違憲性について明確に言及せず、その後も適法であるとの見解を表明して、被害救済のための措置を執らなかったことをもって、憲法より下位である民法の除斥期間を適用することは、憲法 17 条で保障された国民の権利を損なうことになるとしました。

除斥期間の起算日を、一時金支給法が成立した 2019 年 4 月 24 日の施行日から 5 年間の猶予期間を設けるべきとしたことも画期的であり、これを適応すれば、現在全国で提訴している被害者たちは、全員が対象となります。
そして裁判長は最後に、子どもを産めない身体にされたからといって、人としての価値が低くなったものでも、幸福になる権利を失ったわけでもなく、子どもをもうけることが出来ない人も、個人として尊重され、ほかの人と平等に、幸せになる権利を有すること。
子どもをもうけることのできない人たちに対する差別を助長することのないよう、報道などの際にも十分留意すること、差別のない社会を作っていくのは、国はもちろん、社会全体の責任だとの考えを述べました。

障害のある女性たちは、この法律で奪われた性と生殖に関する健康と権利を、今なお否定されがちです。
本判決が、障害女性の性と生殖に関する健康と権利を含むすべての尊厳を取り戻し、優生思想のない社会に向けた大きな一歩となるよう、国が上告せずこの判決を確定させることを、私たちは強く求めます。
国は本判決を重く受け止め、まだ声を上げることのできない方たちも含め、被害者に真摯に謝罪すべきです。そして、一時金ではなく賠償としての補償を行うための法律を策定し、被害の更なる調査、二度と同じ過ちを繰り返さないための検証を行い、優生思想のない社会にするための施策を講ずることに取り組むべきです。
ただどんなに謝罪と損害賠償を受けても、被害者の身体が元に戻るわけでありません。
しかし、すでに高齢となった原告たちに、これ以上心身共に大きな負担となる裁判を強いることだけは、止めてください。全国で25名の原告が提訴しましたが、すでに 4 名の方が亡くなられました。被害者に一刻も早い謝罪と損害賠償が望まれます。
国は上告を断念し、本判決を確定させ、各地の裁判を早急に終わらせることを強く求めます。

以上

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障害のある女性に係わる0歳児遺棄事件に関する要望

「障害のある女性に係わる0歳児遺棄事件に関する要望」を、厚生労働大臣、北海道知事、北海道檜山振興局長、江差町長に宛てて、2022年3月12日に、DPI女性障害者ネットワーク、DPI日本会議、しあわせなみだ、DPI北海道ブロック会議の連名で提出しました。

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大阪高裁判決を受けての声明

DPI女性障害者ネットワークは、「大阪高裁判決を受けての声明」を2022年2月28日、
内閣総理大臣、厚労大臣、法務大臣宛に提出しました。

2022年2月28日

大阪高裁判決を受けての声明

DPI女性障害者ネットワーク
代表 藤原 久美子

私たちDPI女性障害者ネットワークは、1986年の設立当初から、優生保護法撤廃を求めてきました。また、同法を背景とする、障害女性の子宮の摘出をやめるよう、抗議を続けてきました。障害女性のリプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利:第5次男女共同参画基本計画/内閣府より、以下同)が実現するように、他の女性団体とともに、厚労省へ意見書を提出するなどの活動もしています。

2022年2月22日、大阪高等裁判所第5民事部(太田晃詳裁判長)が大阪地裁判決を覆し、国に対し優生保護法被害者である控訴人らに対する損害賠償を命じる判決を言い渡しました。
優生保護法の被害に対して初めて賠償を認める判決を強く支持します。
高裁判決は、旧優生保護法が、特定の障害や疾患のある人を一律に「不良」と断定したことは、非人道的かつ差別的で、個人の尊重という日本国憲法の基本理念に照らし是認できないとしました。子を産み育てるか否かについて意思決定をする自由及び意思に反して身体への侵襲を受けない自由を、明らかに侵害しており、正当化できるものではなく、憲法13条、14条1項に反し違憲であるとしました。
また、子を産み育てるか否かについて意思決定をする自由は、性と生殖に関する健康と権利も保障することであり、この権利を否定した旧優生保護法は性と生殖に関する健康と権利にも反するものであったことも認めました。

障害のある女性たちは、この法律で奪われた性と生殖に関する健康と権利を、今なお否定されがちです。
そして優生保護法の被害に対し、初めて控訴人に除斥期間を適用しないとして、賠償を認めた判決を強く支持します。さらに国際人権規約においては「強制不妊手術に時効は適用すべきでない」とされており、今回の判決はこれまでの地裁の判決を覆し、「除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反し」ているとして、初めて除斥期間の適用除外を認めた点で画期的です。
本判決が、障害女性の性と生殖に関する健康と権利を含むすべての尊厳を取り戻し、優生思想のない社会に向けた大きな一歩となるよう、国が上告せずこの判決を確定させることを、私たちは強く求めます。

国は本判決を重く受け止め、まだ声を上げることのできない方たちも含め、被害者に真摯に謝罪すべきです。そして、一時金ではなく賠償としての補償を行うための法律を策定し、被害の更なる調査、二度と同じ過ちを繰り返さないための検証を行い、優生思想のない社会にするための施策を講ずることに取り組むべきです。
ただどんなに謝罪と損害賠償を受けても、被害者の身体が元に戻るわけでありません。
しかし、すでに高齢となった原告たちに、これ以上心身共に大きな負担となる裁判を強いることだけは、止めてください。全国で25名の原告が提訴しましたが、すでに4名の方が亡くなられました。被害者に一刻も早い謝罪と損害賠償が望まれます。
国は上告を断念し、本判決を確定させ、各地の裁判を早急に終わらせることを強く求めます。

以上

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優生保護法被害訴訟の集会案内

2022年2月8日、開催予定の「優生保護法被害訴訟の集会案内」チラシを掲載します。

オンライン参加も可能ですので、是非ご参加ください。